羽後町にある本社兼工場の外観
男・須藤健太郎、60にして立つ!
きっかけは、首都圏の飲食店で口にしたいぶりがっこ。「うちの漬物はおいしいですよ。秋田のいぶりがっこですから」と出された郷土の名産品が、自分の食べ慣れた味とかけ離れていたことがゆめ企画 須藤健太郎商店の創業者(現会長・須藤健太郎さん)を突き動かしたのです。
『本来の味をしっかり伝え、後世に残していくために何とかしなくては!』
そう考えた須藤会長は平成16年、60歳にして会社を設立。昔ながらの味と製法にこだわった、いぶりがっこ作りを始めたのでした。名ばかりの郷土食の流通は今もいろいろなところで問題視されていますが、解決に向け実際に行動を起こすだなんて会長、かっこよすぎます!
2020年から社長に就任した薄井あゆみさん
どんなに売れても大量生産は目指さない
会社は昨年10月に、入社5年目の薄井あゆみさんが承継。事業だけでなく会長の思いもしっかり受け継いで、手間暇かけたいぶりがっこを世に送り出すスタンスを貫いています。
「ゆめ企画のいぶりがっこは米糠をたっぷり使い、砂糖と塩だけで100日以上漬け込んで、大根の水分を絞り熟成させて作っています。あまり効率の良い作り方ではありませんが、だからと言って漬け込み期間を短くして生産量を増やすといったことは考えないですね。私たちが目指しているのはそこではないので」。(薄井代表)
もちろん原料の大根も、できる限り自分たちで生産。いぶりがっこに合う「香漬の助(こうづけのすけ)」という品種を自社農場で栽培しています。
毎年、大根の出来は気候などによって左右されますが、2021年はお天気にも恵まれ、例年よりも立派な大根が大量に採れたとのこと。どんないぶりがっこが出来上がってくるか今から楽しみです。