熟練の技であっという間に編み上げていきます。
秋田県大仙市協和。このエリアには、いぶりがっこの製造を行うメーカーが多く点在しています。その中でも古くからいぶりがっこを出荷している「桜食品株式会社」は、今では数少ない「縄で大根を編んで燻す」ことにこだわったいぶりがっこづくりを行っています。
燻しの作業は12月が最盛期。この時期になると農家のお母さんたちが山積みになった大根を10本ほど縄で編んで、燻し小屋に吊るせるように作業を行っています。慣れた手付きでどんどんと編み込んでいくお母さんたちの手元を見ていると、簡単そうに見えますが、実際は長年の経験が為せる技。しかも、10本の大根は大きさや長さを見極めて、上から順に編んでいくんだそう。現場は和気あいあい、とても楽しそうな笑い声が響きます。
昔ながらの姿で、大根が燻されていきます。
代表取締役社長は2代目の佐川真理子さん。女性ならではの細やかな商品作りが桜食品のもうひとつの特徴でもあります。見た目の美しさにもこだわり、先代から受け継いだ技術を大切にいぶりがっこ作りに取り組んでいます。
「なかなか人手が足りなくなることもありますが、昔からこの時期には大根を編むお手伝いに来てくださる方々がいます。縄で編むという作業は手間がかかりますが、桜食品のいぶりがっこは昔ながらの製法で作りたいという先代の思いを受け継いで、続けていきたいですね」と教えてくれました。
手慣れた様子でお母さんたちに漬けこまれた樽のようす
敷地内には、数多くの燻し小屋が建ち並びます。それぞれだいたい1,000本ほどを3日ほど掛けて広葉樹の薪を使って燻していきます。燻すのは男性スタッフの担当で、気温や天候を見ながら火加減を調節し、程よく水分が抜けるよう細心の注意を払います。燻した大根を一度洗浄し、漬け込むのは女性スタッフの出番です。あらかじめブレンドした漬け床の材料を用意し、大きな漬け樽で手際よく大根を敷き詰めていきます。巨大な冷蔵庫でじっくりと熟成させ、約1か月ほどでいぶりがっこができあがります。程よい燻香とパリパリとした食感、桜食品のいぶりがっこの完成です。