秋田の発酵食文化を知るコラム「発酵哲学」


発酵食品に溢れる、秋田の食文化。
秋田で暮らし、「発酵」に40年近く携わってきた研究家の協力の元、少し踏み込んだ内容から日常生活でもためになる話題まで、たくさんの方々に秋田の発酵食品に興味を持っていただけるよう、そして気楽な読み物としてお楽しみいただけるよう毎月少しずつ、いぶりがっこをはじめとした「秋田の食文化」を紹介していきます!
秋田の食探究コラム、「発酵哲学」。どうぞ宜しくお願いいたします。
今回は、もしかしたら、秋田の食文化がもたらしているんじゃないかと思われる、「秋田美人」や「秋田の学生の頭の良さ」について。今後の発酵コラムの前置きとしてご紹介いたします。

発酵哲学 コラムニストプロフィール

72歳(2022年現在)。学生のころから、発酵食品が大好きで、大学では醸造学を専攻。実家の醤油味噌醸造元を継がずに秋田県の研究機関で発酵に関わる研究し、今の秋田県のいぶりがっこの流通額拡大に貢献した、と言われる「発酵の先生」。味や見た目以上に、化学(微生物の動きなど)が大好き。

Vol.02「発酵食品であるいぶりがっこ。」

発酵食品であるいぶりがっこ。
そもそも「発酵する」とはどういうことなんだろうか。第一回目の今号は、まずはここからご紹介して参ります。

「発酵の定義」
発酵とは本来、微生物が嫌気的に炭水化物(糖質のこと)を分解代謝しエネルギーを得ることと定義されている。
分かりにくい…。

糖質から乳酸やエチルアルコールが生成される場合はわかりやすいが、広くアミノ酸や核酸調味料の生産など微生物の有用な作用全般を「発酵」と呼んでいる。

やっぱり分かりにくい…。

食品を放置しておくと次第に色や見た目、味、臭い、テクスチャーなどが変化していく。特に微生物が関与している場合、「発酵」しているとか「腐敗」しているとか言われるんです。いずれにせよ、環境や条件で、食品に付着した微生物が増殖して食品成分が分解することで生じる現象をさすようです。

では、「腐敗」(食品が腐る)と「発酵」とは別なんだろうか。

「発酵」と「腐敗」は、人間の価値基準によって便宜的に使い分けられている場合が多いみたいです。一般には、微生物作用のうち人間生活に有用な場合を発酵、有害な場合を腐敗と呼んでいます。

「腐敗の定義」
タンパク質やアミノ酸などの食品成分が微生物の作用で分解され、硫化水素やアンモニアのような腐敗臭を生成し、「食べられなくなってしまう現象」が腐敗のようです。食品の成分や微生物の種類で一様ではありませんが、臭いの変化を鼻がキャッチし腐敗と表現することになります。(1千万〜1億)

腐敗はタンパク質を多く含む食品で顕著ですが、ご飯、野菜、果実などでもふつうにみられます。
原料が同じでも、蒸した大豆に枯草菌(納豆菌)を生やして納豆がつくられる場合には発酵と呼ばれるが、 煮豆を放っておいてネトやすえた臭い、アンモニア臭がしたときは腐敗と呼ばれます。
同じ乳酸菌でもヨーグルトや味噌がつくられる場合は「発酵」であるが、清酒中で増殖する場合は「火落ち」といって「腐敗」を意味することになります。

「発酵」と「腐敗」、似ているようで違うものなんですよ。

今回は、「発酵」と「腐敗」の違いを確認していきました。

次回より秋田に根付いてる発酵食品を一つずつご紹介していきます。

最初は、日本三大魚醤であり、秋田を代表する特産品「しょっつる」に関して、 その歴史や造り方、使い方など盛りだくさんにてお届けします。

え!いぶりがっこじゃないの…

と言いますのも、。 ちょうど秋田を代表する日本料理店にしょっつる醸造元4代目と伺ったところ、
『世界中に魚醤あるけど、あなたが作るハタハタのしょっつるが世界一だと思ってるんだ。』 というのを聞き、感極まったばかりなのでまずはしょっつるを紐解いていきましょう。